ロシア啓蒙主義の迷景

クリックで画像を表示

フランスを筆頭に西欧で啓蒙主義の熱が高まるなか、ゲーテに代表されるドイツ文化圏に留学してフランスとは異なる啓蒙主義の空気を吸って帰国したコゾダヴレフ。君主エカチェリーナ2世のもとでロシアの文化行政に従事し、自らも翻訳や執筆を通じてロシアの啓蒙につとめたこの人物が本書の主人公である。18世紀から19世紀にかけて専制の強化と自由の希求の間で揺れ動き続けることになるロシアの「近代化」の一時代を、ひとりの啓蒙主義者の仕事を通じて考察した初の論考。


著者 金沢 友緒(かなざわ ともお)

東京大学教養学部教養学科卒業、2020年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。Ph.D. (人文学、ロシア文学研究所)。日本学術振興会特別研究員(DCPD)を経て、現在は電気通信大学大学院情報理工学研究科講師。
共著書に『18世紀ロシア文学の諸相 ロシアと西欧 伝統と革新』(水声社)、«Карамзин-писатель» (ИРЛИ РАН)、『ロシアの歳時記』(東洋書店新社)がある。

【主な目次】

はじめに

序 章 ロシアと啓蒙主義

第一章 ドイツ留学が拓いた啓蒙主義への道——О・П・コゾダヴレフの活動前夜

第二章 異文化対立を通しての西欧理解——ゲーテ『クラヴィーゴ』との出会い

第三章 翻訳と啓蒙——『クラヴィーゴ』翻訳に見る啓蒙主義者の眼差し

第四章 ロシア啓蒙主義と感情の表現——『クラヴィーゴ』の翻訳と雑誌『ロシア語愛好者の友』

第五章 『ロシア語愛好者の友』に掲載されたコゾダヴレフの作品

第六章 論文「ヨーロッパの国民教育についての考察」とコゾダヴレフの教育論

第七章 コゾダヴレフの啓蒙活動がもたらした新しい時代——新聞『北方郵便』と複数言語併記の出版物

終 章 ロシア啓蒙主義の迷景

補遺 О・П・コゾダヴレフの三つの作品の翻訳