ぼくはソ連生まれ

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私たちはソ連の中で生きていた人たちのことをどれだけ知っていただろうか。ジーンズへのあこがれ、映画や小説の主人公への熱狂、酒の飲み方からトイレや台所にまつわる話、行列の意外な効用まで、モノや人の記憶を掘り起こすいくつものエッセイから〈彼ら〉の暮らしが見えてくる。
書誌情報
群像社ライブラリー45


折にふれてぼくはソ連への切符を買いたくなる、でもそのたびに、そんなものはもう売っていないんだと思い出さなくちゃならない。どの鉄道も、飛行機も、道路も、もうソ連へは行かない。ソビエト連邦はもはや存在しないから。ぼくがこの国を訪問するたった一つの方法は記憶だけだ。これから続く文章は数々の思い出や信じられない冒険の物語。(本書より)