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川の恵みを受けて繁栄していた時代は遠くなり小さな家族になったケヴォングの一族。ロシアから押し寄せる資本主義の波にのまれて生活環境が大きく変わっていく中で人びとの嫁取りの伝統もまた壊れていく。サハリンの先住民ニヴフの作家が民族の運命を見つめた長編ドラマ。
モスクワの北東約六百キロ、ロシア人が心のふるさとと感じる北ロシアに生まれて早くから詩人として認められたソ連時代の抒情派詩人。戦後は国家主導の文学理論と相容れず、大きなものの陰に隠れた小さな生きものたちの命を見すえた散文に精力を注いだ作家の日本初の詩的作品集。
群像社ライブラリー36
監獄の前で面会を待って並ぶ女たちの中にいた詩人が苦難の中にある人々を思いながら歳月をかけてつづった詩篇「レクイエム」。悪事が行われた場所に生えて笛になってその悪をあばいたといわれる「葦」を表題にした詩集。孤独と絶望の中でささやく女の声が詩となって私たちに届く。
樺太をめぐる領土交渉という特命を受けてロシアに向かう榎本武揚の前に現れた若いロシア人将校は冷徹な外交の世界に心あたたまる友情を注ぎ込んでくる。旧幕府軍の指揮官から明治新政府の要人へと数奇な人生を送った榎本に惚れ込んだロシアの現代作家が描く長編外交サスペンス。