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人の死を悲しんで流す涙には作法がある。
故人を無事に死者の国(トゥオネラ)に送り出すために
北ロシアの農村で伝承されてきた「泣き歌」と「泣き女」の習俗に光をあて、
ソ連時代のアカデミズムから排除されながらも
「泣き歌」を学術的テーマとして確立した葬礼と悲しみの民俗学。
反体制派の作曲家としてソ連当局から迫害され続けながらも、 鉄のカーテンの隙間から吹き込んでくる西側の風を吸い込んで、 バッハを源流とする音楽の伝統を未来へと繋ぎ、 世界的現代作曲家として名声を成し遂げたシュニトケ。 インタビューと作品解説で描き出すその世界。
花嫁はなぜ涙で送り出されるのか。家族と離れ夫とその親族のいる異界=トゥオネラ(死者の国)に向かう娘に付き添う泣き女の唄、ロシア特有の風呂小屋での儀式、乙女が嫁にかわるときの女性の髪型に込められた意味など数々の要素を分析した北ロシア・カレリア地方の婚姻の民俗学。